総合特区制度を活用した取組み

新たなサービス展開へ!『とやま地域共生型福祉推進特区』

平成23年12月、富山県全域を対象とする「とやま地域共生型福祉推進特区」の指定を受け、新たな規制の特例措置について国との協議を経て、いくつかの特例措置等が認められました。これらの特例措置等を活用して、平成25年度から、富山型デイサービス事業所を活用した障害者の就労支援の取組みや共生型グループホームの開設が推進されています。

富山型デイサービス事業所が連携して障害者の就労を受け入れ!
『地域共生型障害者就労支援(就労継続支援B型)事業』

富山型デイサービス事業所では、仕事をしたいという障害のある方を掃除や洗濯、食事の配膳などを手伝ってもらう有償ボランティアとして受け入れていました。

一般企業で働くことが難しい障害者が、支援を受けながら事業所で就労する「福祉的就労」は、利用者が20人以上の大規模事業所に限られていました。

しかし、国との協議により施設外就労の特例措置※が認められたことから、少人数の障害のある方を受け入れる富山型デイサービス事業所が複数集まり、受け入れ総数が20人程度となり、中心的な事業所が就労継続支援B型事業所の指定を受けることにより、障害者自立支援給付の対象として事業を行うことができるようになりました。

NPO法人「このゆびとーまれ」が運営する事業所「はたらくわ」が就労継続支援B型事業所の指定を受け、平成25年4月から事業を展開しています。

これにより、一般の企業等で働くことが難しい障害者が、地域に密着した場所で働く場を確保できるようになるとともに、「はたらくわ」の職員が複数の富山型デイサービス事業所を訪問することにより、事業所間の連携がより深まり、障害者の福祉的就労への対応がより円滑に行われるようになりました。

※利用定員の100分の70を超えて施設外就労を行うことができる。施設外就労1ユニットあたりの最低定員を1人以上とすることができる。

地域共生型障害者就労支援事業

認知症高齢者と障害者が同じグループホームで生活!
『共生型グループホームの整備』

認知症高齢者グループホームと障害者グループホームの設備の基準はそれぞれ介護保険法と障害者総合支援法で定められているため、両グループホームを併設する場合、たとえば、1階を認知症高齢者グループホームとし、2階を障害者グループホームとして、それぞれに必要な設備を設けるなど、両グループホームを区分して併設する必要がありました。

今回の国との協議により、それぞれ別々の基準に基づき整備されていた認知症高齢者グループホームと障害者グループホームについて、市町村の条例で居室以外の設備(玄関、お風呂、台所等)を共用することができる旨を規定することにより、事業者の判断で設備を共用するグループホームを整備することができるようになりました。

社会福祉法人「にいかわ苑」では、平成21年に県内最初の「富山型共生グループホーム双葉」を開設し運営してきましたが、介護保険組合の条例が整備され、浴室等を共用する初めての「富山型共生グループホーム翼」を整備し、平成25年9月から認知症高齢者と障害者を受け入れています。

これにより、たとえば、障害のある子を持つ親が認知症になったとしても同じグループホームで生活できるようになるほか、共用設備の整備費用が軽減され、共生型グループホームの設置が促進されることが期待されます。

これまでの共生型グループホーム これまでの共生型グループホーム

『就労継続支援B型 はたらくわ』について

山口 賢一[はたらくわ サービス管理責任者]

これまでは、1事業所に就労者3名でした。しかし、これからは、1事業所に1名でも就労が可能になったので、障害のあるの方々の働く場が広がりました。はたらくわでは、職員4人が、就労先へ訪問し、働いている方々の様子を見たり、相談にのったり、他の事業所の情報などを伝えたりしています。

いま、12事業所に18名が働いています。将来は、身近なパン店、ラーメン店などでも就労できるようにしたいと思っています。

就労先/モモのところにいってごらん Yさん(10代)

働いて一年経ちますがとても楽しいです。仕事は料理や掃除等をしています。ここで、料理の楽しさを知って、モモで作った「おはぎ」を家でも作り、お母さんやおばあちゃんたちが喜んでくれました。

事業主の声(代表理事/小西 恵子) 最初は、昼夜逆転の生活を送っていましたが、働きだしてから生活リズムも戻り、いろいろな人と関わることで性格も明るくなり、笑うようになりました。これからは、彼女が自分で生活することができるよう手助けしていきたいです。

就労先/ありがた家 Nさん(40代)

働きだして半年ほど経ちました。仕事は、食器洗い、洗濯物干しや掃除等をしています。最初は仕事に対して多少の不安もあったのですが、今では徐々に仕事に慣れてきました。

事業主の声(理事長/喜多 聡美) 以前から有償ボランティアとして働かれていました。最近では自ら率先して働かれています。また、バスで通われているので活動範囲も広がり、仕事も私生活も充実されています。「はたらくわ」は、とてもよい活動だと思います。