「地域共生のとやま」をめざして

平成5年に富山型デイサービスが誕生し、誰もが住み慣れた地域で自分らしく安心して暮らすことができる“共生社会”の取組みが始まってから20年が経過しました。

この間、富山型デイサービスを起業された方々は、富山型デイサービスの持つ基本的な理念と、自らの信念に基づき、地域のニーズに柔軟に対応し、それぞれのサービスを形作りました。

平成26年3月31日現在、富山県内では105の富山型デイサービス事業所がありますが、それぞれの事業所により、様々な公的なサービスの組み合わせがあり、また独自の自主的なサービスが提供されています。

このように、富山型デイサービスは、その地域の生活課題や地域資源によって柔軟に姿を変化させるものであり、一律に定義できるものではありませんが、「年齢や障害に関係なく共に暮らせるまちづくりを考える」という基本的な理念は共通しています。

この理念を大切にしつつ、今後とも、富山型デイサービスがこれからの富山型地域共生社会の実現に向けて大きな役割を果たすことができるよう、次の取組みを進めてまいります。

総合特区制度を活用したさらなる規制緩和等の実現

富山型デイサービスは、行政が企画・立案、制度設計をし、主導的に推進していったものではなく、民間の柔軟な発想に基づき誕生したサービスについて、県がその効用を理解し、特区制度を活用した規制緩和などによる支援を行ってきたものです。これからも、熱意ある現場の皆様の様々な活動を公的な制度として位置づけるなど、積極的に支援していくことが重要であると考えています。

今後とも、事業者の方々と意見交換をしながら、市町村と連携し、新たな規制緩和等を提案することなどにより、共生社会実現に向けた取組みをさらに推進してまいります。

地域活動と連携し、地域共生の拠点となること

今後、地域包括ケアを構築する上で、それぞれの地域において、地域住民のニーズ等を十分に把握し、地域の実情に応じた多様な福祉サービスを展開することが必要です。

富山県独自の地域共生の取組みの一つとして、地域住民自らがチームを結成し、地域の要支援者に対し、見守りや声かけ、買物代行等のインフォーマルなサービスを提供するケアネット活動がありますが、このケアネット活動と、地域のニーズに柔軟に対応している富山型デイサービスが連携し、地域の要支援者に切れ目なくサービスを提供することは、住み慣れた地域で誰もが生活を継続できる地域共生社会実現に大きく寄与するものと考えます。

このため、今後、富山型デイサービスとケアネット活動の有機的な連携を進め、富山型デイサービス事業所が地域社会における共生の拠点となるよう取組みを推進してまいります。

富山県から地域共生を発信し、その取組みが全国に広がること

平成24年には、富山型デイサービスの形態が、東日本大震災の被災地において「共生型福祉施設」として推奨されるなど、厚生労働省の理解も得られ、その普及促進を図る旨の通知が発出されており(※)、今後、全国的に、地域の実情に応じた創意工夫ある地域共生型福祉の取組みが推進されることが期待されています。

このため、県では、学識経験者やマスコミの論説委員等の皆様に現地を視察していただくことにより本県の地域共生の取組みを理解いただき、新聞・雑誌への寄稿や講演等により広く紹介していただくなど、富山型デイサービスを始めとした全国に誇れる富山型地域共生の取組みを発信してまいります。

  • ※平成24年7月31日付で厚生労働省関係各課長連名通知「被災地における共生型福祉施設の設置について」が発出される。
  • ※平成24年10月4日付で厚生労働省関係各課連名の事務連絡「共生型福祉施設に関する相談窓口のワンストップ体制について」が発出される。